万葉の昔の控えめで奥ゆかしい・・・秋の七草

フジバカマ・凄くはびこる

今、家の庭で一番元気が良いのが、フジバカマ(藤袴)

古くから「秋の七草」の一つとして親しまれてきた。

【ハギ・キキョウ・クズ・フジバカマ・オミナエシ・オバナ・ナデシコ】

去年はここまで大きくなる前に、切ってしまった。

今年初めてこんなに大きくなって、すごい勢いだ。

この花、背は高くなるし、すごく蔓延るので、花後は縮小したいと思う。

春の七草は、正月明けの1月7日に「七草粥」として食べるが、

秋の七草は食べたり摘んだりするものではなく、鑑賞して季節を感じるためのもの。

Contents
1・秋の七草の由来
2.薬や日用品の材料だった
3.秋の七草は観賞用

1・秋の七草の由来

奈良時代の貴族・山上憶良が詠んだ歌に由来があります。

・「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」

・「萩の花、尾花(ススキ)、葛花、瞿麦(ナデシコ)の花、姫部志(オミナエシ)、また藤袴、朝貎の花(アサガオ)」

当時は季節の草花を歌に詠むことが多くありました。憶良がこの二首を詠んだことにより、この七つが秋を代表する草花として認知されるようになったのでしょう。

朝貌は桔梗をさしているとされています。当時は朝に咲く花をまとめて「朝顔」と呼んでいました。漢字は違いますが、花は現代に伝わる秋の七草と同じです。

でも、ナデシコは4月から咲くし、キキョウも6月から咲いています。それは当時の暦では秋とは、現代の夏にあたるからです。また、気候も現代とは違っていたと思われます。その為、当時と現代とでは花の開花の時期も異なっていたと考えられます。

憶良が挙げた七つの花は、当時は、きっと7月~9月に咲いていたのでしょう。

2.薬や日用品の材料だった

秋の七草は、薬や、食用・衣料品など、実用性の高い植物であったことです。

・キキョウ・・・葉は食用・桔梗根は、のどの漢方薬、咳止め

・クズ・・・・解熱作用のある漢方薬・葛根は、でんぷんを多く含んいるので葛餅などの菓子材料

・ハギ・・・ハギの根は、めまいに効く煎じ薬・屋根や壁の材料・染め物・お茶・実の粉は餅に混ぜて食べました(おはぎ)の由来です。萩の花は、万葉集で一番多く詠まれた花で、141首もあります。2位は梅で110首。(中国から伝わり、高い人気を誇っていた梅を押さえての1位です。)【美しくも派手すぎない奥ゆかしさを持った花をつけるので、日本人好みなのでしょうか。】花を頭に飾って楽しんだようです。

・ススキ「尾花」・・・わらじ・すだれ・ほうき・茅葺屋根の材料・日本の原風景はススキが作り出していたのです。なんと縄文時代から生活に役立てられました。

・ナデシコ・・・種を煎じて飲むとむくみが取れる漢方薬

・フジバカマ・・・乾燥させると独特な香りを放ち、菅原道真は、お風呂に入れたり、匂い袋に入れたりして愛用していたらしい。

・オミナエシ・・・根には解毒作用や利尿作用がある。「万葉集」では女性に例えられています。鮮やかで美しいその姿を、当時の女性にかさねたのでしょう。

3.秋の七草は観賞用

秋の七草は、春の七草よりも当時は、実用性が高いものでした。

しかし、その実用性の認知度が現代においては下がってしまったのでしょう。

ハギは屋根の材料にもなっていましたが、今では茅葺き屋根の家はつくられません。それぞれが漢方薬などに使われていることも認知度は高くありません。

クズは葛餅の原料だとは知っていても、葛の花を見る機会はあまり多くはありません。

今はただ、控えめで奥ゆかしい花を秋の七草と呼んで愛でたこと、万葉の昔の日本人の感性を知って、味わって鑑賞することが大切だと思います。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です